前十字靭帯(ACL)損傷について
ACLは膝の安定性を保つのに必要です。治療はこの膝の軟骨がすり減っていくのを、なるべくおさえる目的で行います。
膝前十字靭帯(ACL)損傷は、スポーツでのケガのなかでも重篤な外傷の一つと言われています。
しかし、適切な治療とリハビリテーションによってもとのスポーツへ復帰することが可能です。
そのためには「∼してもらう」というような受身の治療 ではなく、皆様ご自身の力で復帰を勝ち取るという姿勢が大切です。
どんなときによく受傷するか?
接触損傷 | 他の選手との接触プレーや、転倒時などの膝に直接強い力が加わって受傷するもので、種目別ではラグビーやアメリカンフットボールなどによるものが多い傾向にあります。 |
非接触損傷 | ジャンプ、ストップ、ターンなどの接触プレー以外でも受傷します。 バスケット、サッカー、バレー、ハンドボールによる受傷が多い傾向にあります。 |
症状
- 痛み
- 腫れ
- 膝の不安定感
- 膝崩れ現象(膝が”ガクッ”となる現象)
治療の必要性
痛みや腫れは1∼2週間で消失し、日常生活にはあまり支障をきたさなくなります。 しかし断裂した靭帯自体は治っていないため、放っておくと軟骨がすり減っていき将来的に 変形性膝関節症(膝関節の著しい変形と痛み)の原因になります。 治療はこの膝の軟骨がすり減っていくのを、なるべくおさえる目的で行ないます。
治療方法
ACLが完全に切れた場合、通常は手術的治療が必要とされています。 手術以外の方法、例えば装具やテーピングだけでは十分に膝を安定する事が難しいからです。 また手術のなかでも切れた靭帯を縫う方法では不十分で、靭帯を作り直す手術(再建術)を 行なうのが一般的な治療方法です。
さらに、手術をしても100%元の靭帯と同じではありません。 手術前と手術後のリハビリがとても大切になります。
入院中のリハビリテーションについて
歩行訓練
- 手術当日よりリハビリが開始されます。
- 膝関節の痛みや関節可動域や筋力を確認しながら歩行訓練が開始されます。
- 歩行は両松葉杖歩行から開始し、運動機能に合わせて片松葉杖歩行、松葉杖なしでの歩行へと移行していきます。
術後 1~2日目 | 両松葉杖 獲得 |
術後 3~4日目 | 片松葉杖 獲得 |
術後 5~6日目 | 独歩 獲得 |
※こちらは、おおよその目安です。個人の状態によって異なります。
その他
- 階段昇降訓練、床上動作訓練、屋外歩行訓練などの退院後の環境に応じた日常生活動作訓練を行っていきます。
- 自主トレーニング・アイシングの指導も行っていきます。