産後や閉経前後の手の痛みについて
今回、女性に多い、手の痛みについて、ご紹介していければと思います。
なんだか、急に手首が痛い。子どもの抱っこのし過ぎ?何かの病気?これは病院に行くべき?などお悩みの方も多いと思います。
この記事を通して、少しでも悩める皆さんの手助けになればと思います。
なぜ痛くなるの?
産後でホルモンバランスが崩れると出てくる不調の一つに手の不調があります。女性ホルモンの一つエストロゲンが低下すると、関節や腱の周りにある滑膜という組織が腫れ、関節の炎症が起こりやすくなります。その他に、エストロゲン低下による作用として神経も圧迫しやすくなり、しびれが起こりやすくなっていきます。
産後・閉経後になりやすい代表的な手の疾患
1)ドゥケルバン症候群
ドゥケルバン症候群とは、親指を伸ばす筋肉(短母指伸筋)と親指を開く筋肉(長母指外転筋)が通る腱鞘(腱が通るトンネル)に生じる炎症です。
症状
上図のように腱鞘(トンネル部分)で炎症が起こり腱の動きがスムーズで無くなることで、手首の親指側に痛みが出たり腫れたりします。また、親指を動かすことでこの場所に強い痛みが走ることもあります。
原因
妊娠、出産後の女性や更年期の女性など、女性ホルモンのバランスが崩れることにより発症することが多いと言われています。また、抱っこなど親指の使い過ぎもドゥケルバン症候群を悪化させる原因のひとつです。
チェック
親指を握り込み、手首を小指側に曲げた際の痛みの有無で診断します。痛みが強くなる、または痛む場合はドゥケルバン症候群の可能性があります。
治療
一般的な治療としては痛み止めの処方や湿布、ステロイドの腱鞘内注射があります。また当院では療法士によるリハビリも行っており、施術やホームエクササイズ指導、物理療法(アイシングなど)、ストレッチ、生活・仕事場面での環境調整、負荷がかかりにくい手の使い方など、その方に合ったプログラムを作成・実施しています。
2)ばね指
ばね指とは、指の曲げ伸ばしの際に曲がったまま動かない・手のひらにしこりのような盛り上がりがある・曲げて伸ばす際に引っかかりばね現象が起こる状態の事です。
症状
下図ように指の付け根(★印)あたりで小さなしこりを触れ、押すと痛みがある場合があります。指の曲げ伸ばしとともにしこりの移動がわかる事もあります。症状は起床に強い場合が強く、日中は使っていると症状が軽減する人もいます。また、ひとつの指だけでなく複数の指にばね指症状が起こることもあります。ばね指の症状が進行するとばね現象(スナッピング)が生じ、重症例では一度曲げた状態から伸びない状態(ロッキング)になることもあります。
原因
ドゥケルバン症候群と同様に妊娠、出産後の女性や更年期の女性など、女性ホルモンのバランスが崩れることにより発症することが多いと言われています。腱鞘=指を曲げる筋肉の腱が通るトンネルが厚くなりトンネルが狭くなることにより、腱が腱鞘内を自由に滑走することが出来ずに指の曲げ伸ばし運動が困難となります。その結果ばね現象(スナッピング)を引き起こし、ばね指と言われる症状が見られてきます。
治療
一般的な治療としては痛み止めの処方や湿布、ステロイドの腱鞘内注射があります。また当院では療法士によるリハビリも行っており、施術やホームエクササイズ指導、物理療法(アイシングなど)、ストレッチ、生活・仕事場面での環境調整、負荷がかかりにくい手の使い方など、その方に合ったプログラムを作成・実施しています。
3)手根管症候群
手根管症候群とは、親指~薬指にかけて通る神経が締め付けによっておこる知覚障害と運動障害を病態とする障害がでます。50代半ばを中心に40〜60歳代に認められることが多いと言われていますが、妊娠・出産後の女性にも起こることがあります。
症状
下図のように親指から薬指半分(中指側)痛みやしびれ、夜間痛が特徴的です。症状が進行すると感覚の低下や消失、さらに親指の付け根の筋肉(母指球筋)がやせることでつまむなどの細かい動作(巧緻動作)が困難となります。
チェック
手首のティネル兆候
手首を叩くと痺れ、痛みが指先に響きます。
ファーレンテスト
手の甲を合わせて直角に保持した状態でしばらくすると痺れ、痛みが出現・悪化してくると手根管症候群の疑いがあります。
母指球筋の萎縮
親指の付け根の筋肉がやせてふくらみや弾力がなくなります。
治療
一般的な治療としては痛み止めの処方やサポーターでの安静、ステロイド注射があります。また当院では療法士によるリハビリも行っており、施術やホームエクササイズ指導、物理療法(アイシングなど)、ストレッチ、生活・仕事場面での環境調整、負荷がかかりにくい手の使い方など、その方に合ったプログラムを作成・実施しています。
今回は、女性ホルモンの変化による”手の痛み”についてお話いたしました。
最後まで読んでくださり、ありがとうございます。
この痛みなんだろう!そんな風に感じることがあれば、まずはお近くの整形外科にてご相談ください。