こんにちは!
今日は骨粗鬆症チームから医師の友寄がお届けします。
骨粗鬆症は、現在日本で1200万人(男300万人、女1000万人)が罹患しており、毎年100万人ずつ増加していると言われています。
一般的に骨粗鬆症は高齢者の病気ではありますが、高齢者だけに起こる病気だとは限りません。
今日は、妊娠や授乳に伴う一時的な骨粗鬆症についてお話します。
まず、骨粗鬆症で問題とされるのが、軽微な外力でも骨折してしまう脆弱(ぜいじゃく)性骨折で、骨折によって骨の変形や痛みなどが後遺症として残ってしまうことがあります。そのため基本的な骨粗鬆症の治療目的は【骨折の予防】です。
近年では「妊娠後骨粗鬆症」と呼ばれる、妊娠や授乳に伴う一時的な骨粗鬆症が報告されており、産前産後の長引く腰痛には腰椎圧迫骨折を来たしている可能性があります。
なぜ妊娠や授乳が骨粗鬆症を引き起こしてしまうのでしょうか。
それは、妊娠・授乳期間中は母体から胎児へカルシウムを供給するため、おのずと母体のカルシウムが消失してしまうからです。(※1)
加えて授乳期は無月経になるため、その期間が長いほど骨密度が低下する可能性が高くなります。(※2)
妊娠後骨粗鬆症の70%は初産時に発症し、産後6か月間の授乳で骨密度が5%前後低下、産後6カ月以上の無月経は産後骨粗鬆症のリスクと言われています。
通常は、授乳が終了し生理が再開した後は母体の骨密度も次第に回復していきます。
しかし、授乳期間が長くなるほど生理停止期間も長くなり、骨密度低下状態を招きやすくなる可能性があります。
妊娠後骨粗鬆症は一時的な状態ですが、その期間に脆弱性骨折を来たした場合には、骨の変形などの後遺症が永続する可能性があります。
妊娠や授乳中の長引く腰痛などがある場合には、きちんと検査することをお勧めします。
気になる症状のある方は、お気軽に当院へご相談ください!^^
当院の骨粗鬆症治療についてはこちらから https://rokuto.com/care/osteoporosis/
骨粗鬆症チーム
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※1)授乳により220mg/日のカルシウムが母体から失われます。20-39歳の女性のカルシウム摂取量は476mg/日と言われており、妊娠・授乳中に必要なカルシウム摂取量700mg/日と比べると、明らかに摂取不足な状態です。(国民健康・栄養調査 平成18年)
※2)女性ホルモンであるエストロゲンには骨吸収を抑制する働きがあり、そのため閉経や無月経によるエストロゲン分泌低下で骨粗鬆症が発症、増悪します。