手のお悩み

妊娠・出産・更年期に多い手の痛み【痛む場所別!原因と対処法】

女性は妊娠、出産、更年期の影響で、ホルモン量が変化し、むくみや炎症が起こりやすくなりますが、その影響で手の痛みを抱える方も多くいます。そこで今回は女性に多い手の疾患についてご紹介していきます。今からご紹介する3つの疾患は、手の違和感が長く続くことが多いため「忙しいから」と放置せず早めに整形外科を受診しましょう。

女性に多い!代表的な3つの手の疾患

あなたは手のどの部分に痛みがありますか?イラストをタップすると、痛みの原因や治療法が確認できます。

手根管症候群(しゅこんかん症候群)

仕事後や明け方に指がしびれて痛くなる。

おもに人差し指や中指がしびれて痛みを感じます。特に手をよく使い過ぎた後や、夜から朝にかけての手がむくみやすい時に痛みが強くなります。

症状がひどい場合は、親指を動かす筋がやせて細くなり手指の感覚が鈍くなるので、食器を落としやすくなったり、ボタンかけなど細かな作業ができにくくなったりする場合もあります。

原因

手首の手根管(骨の溝に靭帯がかぶさった部位)で神経が圧迫されて起こるためです。女性は育児や家事で手をこまめに使う上に、ホルモン量の変化によるむくみや滑膜炎(腱の周囲の滑膜が炎症を起こす)で更に圧迫されやすい状態となります。そのため圧倒的に女性が多く罹患します。

治療法

まずは手の使い過ぎを止めることですが、どうしても難しい場合は下記の対策が有効です。

①局所の安静のスプリント(手に着ける装具)をなるべく長く、最低夜間には必ず装着する。
②むくみを減らすため消炎鎮痛剤(痛み止め)を内服する。
③手根管部の腱の滑膜へブロック注射する

それでも改善せず筋の萎縮が強い場合には手術が必要となります。

ドケルバン病(狭窄性腱鞘炎:きょうさくせい けんしょうえん)

親指を動かすと痛む

手首の親指側が腫れて痛くなります。特に手をよく使い過ぎた後などに親指を動かすと痛くなります。出産後に赤ちゃんを入浴させようと親指で頭を支えて痛くなり、気付くケースもあります。

原因

手首の腱鞘部で炎症が生じる(腱鞘炎)ことで、親指側にも痛みが生じます。ホルモン量の変化によるむくみや滑膜炎で圧迫が強くなり、腱鞘炎の痛みが強くなっていきます。

治療法

まずは手の使い過ぎを止めることですが、難しい場合は下記の方法が有効です。

①局所の安静のためのスプリントを作製してなるべく長く装着する。
②むくみを減らすため消炎鎮痛剤(内服または湿布)を使用する。
③腱鞘部へ直接注射するなどです。

それでも改善しない場合は手術が必要となります。ドケルバン腱鞘炎は元々腱鞘が狭い人が罹患しやすいので再発も多く、一度で治る手術(腱鞘切開術)も有効な方法です。

どんな手術をするの?

『手術』と聞くと怖いイメージをもつ方も多いと思いますが、この手術は比較的小さな手術となります。手術の特徴:①手術時間約20分で日帰り手術が可能②局所注射の麻酔を使用する③切開は1~1.5㎝で行うため傷口が小さくてすむ④費用は約1万円程度

ばね指

指を伸ばすと引っかかって痛い。

これは女性の中でも特に更年期(50代前後)に多い疾患です。手指を伸ばす時に引っかかって痛みを感じます。またこの痛みはむくみが強くなる朝方や、手を使い過ぎた後や、手のひらを強く圧迫した後などに強くなります。特に親指、中指、薬指に多く見られます。

原因

これは第3関節(母指は第2関節)の手のひら側の腱鞘部で炎症が起こり、腫れて肥大化した腱が引っかかることで痛みが生じます。引っかかって見える指の第2関節(母指は第1関節)には問題ないので圧迫しても痛くありませんが、その下の腱鞘炎部を圧迫すると痛くなります。また、炎症が起きている第3関節に触れながら指を屈伸させると、腫れている腱が動くのがわかります。

治療法

まずは手の使い過ぎを止めることですが、難しい場合は下記の方法が有効です。

①局所の安静のために関節にテーピングをして、曲げ伸ばしを制限する。
②炎症を減らすため消炎鎮痛剤(内服、塗り薬、湿布)を使用する。
③腱鞘部へ直接注射するなどの治療法があります。

それでも改善しない場合はドケルバン病と同じ腱鞘切開術を行っています。手術をすることで、ほとんど再発なく治ってしまうので手の手術の中では最も件数が多い手術でもあります。

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手の外科外来 担当医
宮里 剛行(みやざと・たけゆき)

内容 手の変形、しびれ、コブなど手に関するあらゆる症状に対し、専門的に治療を行います。
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●ロクト整形外科クリニック 
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