スポーツ活動中に多い怪我の1つである「捻挫(ねんざ)」は、スポーツ選手だけでなく、関節が柔らかく筋力が未発達な子供、女性に多いケガでもあります。痛みが慢性化したり、捻挫を繰り返さないためにも、万が一捻挫をしてしまったら病院を受診して適切な治療を行っていきましょう!
捻挫時のリハビリテーション
ここでは当院のリハビリテーションの流れを紹介していきます。当院では理学療法士が医師の指示に従って、それぞれの目標(日常生活復帰レベル?競技復帰レベル?)に沿ったリハビリプログラムを作成していきます。
※足関節捻挫で大部分を占めている「内返し捻挫(足首の外側の靭帯を痛める)」の場合の例
受傷時の状況や個人のバックグラウンドを聴取
ジャンプ着地などで相手の足に乗り上げたり、スライディングタックルを足関節に受けたりする“接触型”なのか、減速動作や方向転換動作で発生することが多い“非接触型”なのかなどの受傷時の状況をお聞きします。また、足関節捻挫の受傷回数が多いと構造的な不安定性に加え機能低下が残存している可能性が高いため、そういった個人のバックグラウンドも把握しておきます。
足首の固定期間後や炎症後は周囲組織の癒着が起こり、足首に可動域制限が生じやすい状況にあります。そのためモビライゼーションやマッサージを行い、周囲の筋肉や靭帯、脂肪帯などの各組織の動きを改善していきます。
また、上の写真のように定期的に計測を行い、治療効果の確認も行っています。
各組織の動きが改善されてきたら、ご自身でもできるようなストレッチや運動指導を行います。
症状の度合いや個人差にもよりますが、軽い捻挫であればおよそ4週間で日常生活復帰、9週間以降で競技復帰できるのが一般的です。
ストレッチ・運動を行う際のポイント
(1)足関節を柔らかくしていく
足先を上に向ける動き(足関節背屈可動域)に制限があると、足首の安定性が低下し、捻挫再発の要因となる可能性があります。そのためリハビリの際は、この”足関節背屈可動域”を広げるようなストレッチや運動をメインに行っていきます。
(2)足首周辺・股関節周りの筋肉を鍛え、正しい身体の使い方を知る
足首にある関節や筋肉だけでなく、その周辺や股関節周りの筋力をアップさせることも、再発防止のためのポイントとなっています。また正しい身体の使い方を知ることも大切です。
自宅でできる!捻挫予防エクササイズ
長腓骨筋エクササイズ
①チューブをわっか状に結び、足裏の母指球にかけるようにセットします。
②足を前方と後方に交互に動かして、長腓骨筋を鍛えていきます。
ランジトレーニング
ランジトレーニングは、間違った姿勢で行うと身体を痛めてしまう原因にもなるので、しっかりポイントを押さえて行いましょう。
①骨盤と下腿(膝から足首までの部分)は前傾させる
②股関節をしっかり曲げて行う
悪い例
①下腿(膝から足首までの部分)がまっすぐになっており、前傾が不十分。
②膝が内側に入っている
そのほか、片足スクワットや中殿筋のトレーニングなども捻挫を予防できる有効なトレーニングだと言われています。